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2024.03.22
法制度
【インド】2024年改正特許規則の施行について

インド特許庁が2023年8月22日に公表した2003年特許規則の改正案について、弊所では2023年9月1日弊所ホームページにてお知らせいたしましたが、その後意見聴取及び検討を経て、2024年3月15日に改正特許規則(2024年改正特許規則)が施行されましたので、お知らせいたします。

その主要な内容は以下の通りです。

 

  1. 分割出願
特許法第16条に規定されている分割出願について、現在、特許付与前に、自発的、あるいは、単一性を理由とする拒絶理由の解消のために分割出願を行うことが可能とされている。今回、明細書に記載の事項であれば分割出願が可能であるとする、自発的分割出願に関する規則13(2A)を追加して、分割出願に関する手続を明確化しました。
(S&I注:これは、2023年10月13日にデリー高等裁判所が、「2以上の発明」は、クレームに開示されていなくとも、明細書に開示されていればよい、との判断を示し、従来の、「2以上の発明」は、特許出願のクレームに開示されていなければならず、明細書の開示のみに基づく分割出願は行えない、との従来の判断を覆したことにより、発明の開示範囲が改められたことによる改正を含んでいます。)

 
  1. 審査請求期間
現在、規則24B(1)において、審査請求期間は、優先日または出願日のうち早い日から48か月以内と定められていますが、この審査請求期間が、優先日または出願日のうち早い日から31か月以内に改正されます。
これにより、PCT出願をインド国内移行期間(31か月)の満了直前に移行した場合には、同時に審査請求を行う必要が生じます。
ただし、この特許規則改正前に出願された案件の審査請求期間は、従来通り優先日または出願日のうち早い日から48か月以内とされます。

 
  1. 特許発明の商業的実施状況報告
特許法第146条に規定されている特許発明の商業的実施状況の報告について、現在、規則131において、特許権成立後の各会計年度に1回、報告を行うことが求められていますが、この報告を、特許権成立後の3会計年度に1回、その終了6か月前までに報告を行うよう変更し、特許権者の負担の軽減を図ります。
実施報告書の様式(Form 27)が簡略化され、実施/不実施の欄にチェックを入れるのみとなり、実施状況の詳細の記載が不要となります。
また、政府費用を添えて、指定の様式(Form 4)を用いて延期申請を提出することにより、Form 27の最大3か月までの提出期間延長が認められます。

 
  1. 対応外国出願審査状況報告書及び対応外国出願審査書類提出
特許法第8条に規定されている対応外国出願審査状況報告書及び対応外国出願審査書類の提出に関し、提出負担の軽減が図られます。
  1. 対応外国出願審査状況報告書(Form 3)
規則12(2)において、インド出願に関連する対応外国出願の審査状況に関し、何らかの状況の変更(例:公開公報発行、特許査定、等)があってから6か月以内の提出が義務付けられていた対応外国出願審査状況報告書(Form 3)の提出について、インドでのファーストアクション(FER)発行の日から3か月以内の提出に改めます。(S&I注:昨年8月時点の改正案では2か月以内とされていました。)
また、FER以外に、審査官がForm 3の提出を指示した場合も、従来の6か月以内の提出から、2か月以内の提出に改正します。
なお、インド出願と同時、あるいは、インド出願から6か月以内に最初のForm 3を提出しなければならない点については、変更がありません。(規則12(1A))。
また、政府費用とともに、指定の様式(Form 4)を用いて延期申請を提出することにより、Form 3の最大3か月までの提出期間延長が認められます。
  1. 対応外国出願審査書類
特許法第8条(2)の規定に基づき、規則12(3)で、審査官から要求された場合に、サーチレポートや拒絶理由通知や特許査定等の、対応外国出願審査書類の提出(英語以外の言語については英訳を添付)が義務付けられていましたが、この提出義務に代えて、審査官は、公開されているかアクセス可能なデータベースを用いて、検討のために自ら対応外国出願に関する審査情報を検索して入手することができる、と改められました。
(S&I注:依然として審査官による書類提出要請が通知されることもあり得て、その場合、提出期間は審査官の通知の日から2か月以内です。)

 
  1. グレースピリオド
特許法第31条に規定されているグレースピリオドについて、規則29Aとして規定され、申請のための新たな様式(Form 31)が定められました。
 
  1. 期間延長規定
規則138に定める期間延長に関する規定は、国際出願の国内移行、19条補正の翻訳文提出、34条補正の翻訳文提出、優先権書類の翻訳文提出、審査請求書類の提出などについては適用対象外とされていましたが、改正案により、すべての手続を対象に、指定の様式(Form 4)による書面を、延長期間1か月あたり5万ルピーの政府費用とともに提出することで、最大6か月間までの期間延長申請を行うことが可能となりました。
 
  1. 異議申し立て
規則55に定める付与前異議申し立てに対する出願人の意見書提出期間が、異議の通知の日から3か月以内から2か月以内に短縮されました。
この際、異議申立人からの要請があれば、聴聞手続(ヒヤリング)が開催されることとなり、ヒヤリングの日から1か月以内に異議決定が行われることとなります。(S&I注:この異議申し立てにおける聴聞手続(ヒヤリング)の点は、昨年8月時点の改正案には存在しなかった規定です。)
異議申し立てに対する異議決定は、異議申し立て書類の提出の日から3か月以内に行われていましたが、2か月以内に異議決定が行われるよう、規則56が変更されました。

 
  1. 政府費用改定
最低4年分の年金を電子出願により前もって納付することで、納付額の10%の割引が行われます。
上記以外にも政府費用の改定が行われます。

 
  1. 発明者証明書の発行

規則70Aが追加されて、登録された特許に対し、発明者が所定の様式(Form 8A)により900ルピーの政府費用とともに申請することで、インド特許庁が発明者証明書を発行することとなりました。(S&I注:この発明者証明書の点は、昨年8月時点の改正案には存在しなかった規定です。)

インド特許庁サイトに掲載された2024年改正特許規則
https://www.ipindia.gov.in/writereaddata/Portal/IPORule/1_83_1_Patent_Amendment_Rule_2024_Gazette_Copy.pdf

(参考)
インド特許庁サイトに掲載された2003年特許規則改正案
https://www.ipindia.gov.in/writereaddata/Portal/Images/pdf/248296.pdf

弊所提携インド事務所Remfry&Sagarによる本件に関する発表
https://mailchi.mp/remfry/india-patents-amendment-rules-2024-notified-390150?e=6dea66fd11

担当 鈴木秀幹(S&I Japan)

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