WIPO統計データに対する弊所提携インド事務所の分析
世界知的所有権機構(WIPO)による世界知的財産指標2020の発表に基づき、弊所インド提携事務所である、Remfry & Sagerがまとめた、インドから見た、世界知的財産指標2020の特許及び商標のマクロ分析について紹介する。
<<特許>>
2019年度に、インドは世界第7位の出願件数であること、世界の総特許出願件数は対前年度比で3%減少したが、インド特許庁への出願件数は対前年度比で7.1%増加したこと、ここ10年間でのインド特許庁への特許出願件数は、国外出願が24%伸びたのに対し、国内出願が140%超の伸びを示していることを示した上で、IT技術がインド特許庁の審査件数の増加を可能とし、5年前に比べて審査件数が375%になったことを紹介している。
また、他国特許庁との比較として、中国、米国の2019年の特許率が43%未満であることを提示の上で、インド特許庁は拒絶あるいは取下率が高く、54.2%であることに言及している。日本特許庁についての分析は記載されてはいないが、特許率が他国との比較の上で高いことが読み取れる。
出典:
https://www.remfry.com/wp-content/uploads/2021/01/Patent-Stats.pdf
<<商標>>
2019年度に、インドは世界第6位の出願件数であること、世界の総商標出願件数は対前年度比で5.8%増加し、インドの商標出願件数は7.3%増加したこと、世界のマドリッド協定による国際商標出願は前年度比5.7%増加し、インドは指定国として世界第10位にランクされたことを紹介している。
また、世界的に商標出願は主として自国内の出願人により出願されることが多く、インドもその例に漏れず2019年のインド商標出願件数のうち、88%がインド国内からの出願であったことを提示の上で、ここ10年間の商標出願の伸び率は、インド国内からは87%であったのに対し、外国出願は155%の伸びであったことが紹介されている。インドへの商標出願数の多い国は、米国、中国、ドイツ、英国、スイス、の順であった。また、インドへ出願の多い分野は健康分野であり、これに農業分野、被服及びアクセサリー分野が続いている。日本からインドへの商標出願が多い分野は、農業分野である。
また、インド商標庁の審査期間は、1月未満へと短縮され、OAや異議のない場合、出願から6-7ヶ月で登録されていることが示されている。
出典:
https://www.remfry.com/wp-content/uploads/2021/01/TM-Stats1.pdf
担当 鈴木秀幹(S&I Japan)